『思考の整理学』たとえ話シリーズリンク集はこちら
こんにちは、ヒデヨシです。
『思考の整理学』(外山滋比古 著、筑摩書房)は1986年に第一刷が発行され、刊行30年経った2016現在、200万部を超える大ベストセラー本で時代を超えたバイブルとして今も多くの人から愛されている一冊です。
本書には数えきれないほどのたとえ話が使われています。
それぞれが学び深いものばかりであるため、たとえ話が上手くなるブログとして「思考の整理学のたとえ話」をシリーズ化することにしました。
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今回は本書より、「思考のカクテル」というたとえ話を紹介します。
新しいカクテルをつくるとき
たとえば、あなたは今醸造所で地酒Xをつくっています。この地酒Xは完璧な出来で今までにない味わいです。さて、さらにここにすでに存在しているA、B、C、Dの酒があったとします。
これらを使ってカクテルをつくりたい。
しかしこれが難しい。適当に混ぜても美味しいカクテルはできません。
“ A、B、C、Dをまぜ合わせれば、カクテルのようになるであろうが、こういうバーテンダーに本当のカクテルができるわけがない。ちゃんぽん酒である。カクテルもどきでしかない。
(P.45)
地酒Xに絶対の自信を持っているあなたが、AからDまでの酒をすべて否定して地酒Xだけにするのも強引な考えです。
ここはAからDまでの酒を否定せず、うまいこと調和させて地酒Xを引き立たせたい。
カクテル作りの難しさが出ています。
思考の場合にもやはり難しい
論文を書く際の場合の例ですが、同じように思考も調和させるのが難しいと著者は言います。
“ 思考、着想についても同じことが言える。同じ問題についてAからDまでの説があるとする。
自分が新しくX説を得たとして、これだけを尊しとして他をすべてなで切りにしてしまっては、蛮勇に堕しやすい。
Xにもっとも近いBだけを肯定しようとするのも、なお我田引水のうらみなしとしない。
AからDまでとXをすべて認めて、これを調和折衷させる。こうしてできるのがカクテルもどきではない、本当のカクテル論文である。
すぐれた学術論文の多くは、これである。人を酔わせながら、独断におちいらない手堅さをもっている。
(P.46-47)
つまり、先のカクテルを作るときと同じように、それぞれ思考、考えを否定せずに認めつつ論理立てて話をつくることが求められる、というたとえ話です。
カクテルも、思考も、調和のバランンスが難しいですね。
思考のカクテルはコミュニケーションの基本
ここまで少し難しくなりましたが、思考のカクテルとは、人に独自の意見を言うときに、自分以外の意見も尊重して発言しようとする物事の考え方です。
簡単に言えば「イエス・アンド法」です。
イエス・アンド法とは相手の意見をまず肯定・尊重し、その上で自分の意見を展開する交渉スキルの一つです。
「あなたの意見はもっともですね。そうしたら、私のこの意見を取り入れればもっと素晴らしいものになりますよ。」
このように、相手の味を残しつつ、自分の味を主張する。
まさに、思考のカクテルです。
相手を否定するよりも、まず受け入れて尊重した方がコミュニケーションは円滑に進みます。何より角が立たないように話を進めることができる点で優れています。
交渉の場合も自分の意見をうまく主張できるわけですから、使わない手はありませんね。
相手を尊重して受け入れる「イエス・アンド法」、是非試してみてください。
まとめ
・カクテル作りと思考は配合のバランスが難しい
・思考のカクテルとは「イエス・アンド法」という交渉術に応用できる
・「イエス・アンド法」で交渉、コミュニケーションを円滑に進めよう
以上、最後まで読んでくださりありがとうございました。
ヒデヨシ
Photo by Didriks, Roderick Eime / flickr
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