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2016年7月1日金曜日

子どもが能動的に勉強できる教育改革は環境づくりから|思考の整理学のたとえ話


『思考の整理学』たとえ話シリーズリンク集はこちら


こんにちは、ヒデヨシです。

『思考の整理学』(外山滋比古 著、筑摩書房)は1986年に第一刷が発行され、刊行30年経った2016現在、200万部を超える大ベストセラー本で時代を超えたバイブルとして今も多くの人から愛されている一冊です。



本書には数えきれないほどのたとえ話が使われています。

それぞれが学び深いものばかりであるため、たとえ話が上手くなるブログとして「思考の整理学のたとえ話」をシリーズ化することにしました。

(『思考の整理学』たとえ話シリーズリンク集はこちら

今回は本書より、「現代教育が自力で飛ぶことができないグライダー人間を育ててしまう」というたとえ話を紹介します。

そして教育改革を進めるには何が必要か考えていきます。



グライダー人間とは



学校の生徒は、先生と教科書に引っ張られて勉強する。自学自習ということばこそあるけれども、独力で知識を得るのではない。いわばグライダーのようなものだ。自力では飛び上がることはできない。
(P.11)


グライダーはエンジンがないため、自力では飛ぶことはできません。

離陸時には地上からウィンチで巻き取って引っ張ってもらったり、飛行機にロープで引っ張ってもらったりして高度を上昇させます。

グライダー人間とは、独力で能動的に学習するのではなく、現代教育に多い「言われたから勉強する」という受動的な教育によって育成された人たちのことを意味しています。

受動的な学習姿勢をグライダーのたとえ話で説明するのはイメージも簡単なためわかりやすいですね。



グライダー人間訓練所



学校はグライダー人間の訓練所である。飛行機人間はつくらない。グライダーの練習に、エンジンのついた飛行機などがまじっていては迷惑する。危険だ。学校では、引っ張られるままに、どこへでもついていく従順さが尊重される。勝手に飛び上がったりするのは規律違反。たちまちチェックされる。やがてそれぞれにグライダーらしくなって卒業する。
(P.11)

飛行機人間とは、自力で飛べる、物事を自分で発見・発明する人のことです。

画一的な教育の中では、違う行動をとるものを良しとしません。

たとえその子どもに何か輝くものがあったとしても、決められたカリキュラムで決められたことを教えなければ、先生は教育委員会から指導されてしまいます。

これによって皆が同じ教育を受け、同じ行動を学習し、同じ考えを持った「グライダー人間」が量産されます。



画一的な人生の流れ



現代教育はお受験にはじまり、中学受験、高校受験、大学受験、就職活動といった流れができあがっていますね。

「何のために勉強をするの?」
『受験に合格するため。』

「何のために就職するの?」
『お金を得るため。』

そこには創造的な要素は少なく、子どもたちの可能性を狭めてしまいます。

すべての教育が無駄とは言いません。しかし、教育は子どもの可能性を伸ばすべきものであり、教育者である私たち大人と親がその可能性を示唆して導いてあげなくてはいけません。



「没頭」できると楽しい!「強制」されるとつまらない!



本来、教育とは人が「没頭」できるものを伸ばすものです。

自分の意思で決めた「やりたいこと」を見つけさせてもっと伸ばすべきです。

スマホのアプリに興味があれば研究させてみる。サッカーに興味があるならサッカーのサークルをつくらせてみる。声優に興味があるならボイストレーニングをさせてみる。

これからの教育には、子どもが没頭できるものを気づかせてあげて、それを伸ばす時間が必要です。

それぞれの個性を尊重して没頭できることを支援してあげることが、今後の教育の課題です。

だれかに強制されてやらされることほどつまらないものはありません。

強制されているからつまらないと感じる、グライダー人間。

自分のしたいことをしているから楽しいと感じる、飛行機人間。


仕事も同じですよね。



何を変えればよいのか?



いまの状況を変えるためには最低以下の2つが必要です。



・子どもの個性を見出して伸ばす環境づくり


前述のとおり、子どもの才能を目覚めさせてあげる支援をする必要があります。子どもたちを自然に没頭できる状態にしてあげる環境づくりを進めます。

具体的にはまずは子どもの要望に答えられる範囲の地域施設との連携、ICTインフラの整備などです。

環境を整えることで、子どもの好奇心や自立心を鍛えて能動的な学習姿勢にします。これによって自力で飛べる飛行機人間を生み出すことができます。



・「親の期待」という願望を見直す


受験や就職は大人の願望を子どもに押し付けている気がしてなりません。

「子どもには良い学校に入ってほしい」
「子どもには良い企業に就職してほしい」

この気持ちはすごくわかります。

ですが、この期待は入学することや就職すること自体が目的になっています。

大事なのは学校に入ってから、社会に出てから何をするかです。

今ではフリーランスとして働く道もあります。私にはフリーランスとして成功している友人もいますが、「ああ、こういう縛られない働き方も素敵だな」と感じます。

有名な大企業に入れば将来安泰という時代ではもはやありません。人工知能やロボット技術の開発は日進月歩で進んでおり、雇用機会はどんどん縮小していきます。

そのためにも、子どもたちは自分だけの持つ強みを鍛えておくべきなのです。

子どもの可能性は一つだけではないことを親の方々には再認識していただきたいと切に願います。



まとめ


・現代の画一的な教育では「グライダー人間」を量産してしまう

・子どもの没頭できるものを見出し、能動的に学習できる環境を整備しよう

・大人や親の方々は子どもの可能性をもう一度再考してみよう



以上、最後まで読んでくださりありがとうございました。

ヒデヨシ


Photo by Geoff Collins, Lucélia Ribeiro/flickr





『思考の整理学』たとえ話シリーズリンク集はこちら


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