『思考の整理学』たとえ話シリーズリンク集はこちら
こんにちは、ヒデヨシです。
『思考の整理学』(外山滋比古 著、筑摩書房)は1986年に第一刷が発行され、刊行30年経った2016現在、200万部を超える大ベストセラー本で時代を超えたバイブルとして今も多くの人から愛されている一冊です。
本書には数えきれないほどのたとえ話が使われています。
それぞれが学び深いものばかりであるため、たとえ話が上手くなるブログとして「思考の整理学のたとえ話」をシリーズ化することにしました。
(『思考の整理学』たとえ話シリーズリンク集はこちら)
今回は本書より、「ことばの意味は映画のようなもの」というたとえ話を紹介します。
本来、ことばの一つひとつはバラバラ
文章は語や文節から構成されます。
たとえば、「彼は友達と遊んでいた」という文章だったら、文節で区切ると
彼は/友達と/遊んで/いた
となり、さらに語で細かく区切ると
彼/は/友達/と/遊ん/で/い/た
となります。
国語の授業を思い出しますね。
ことばの意味には「連続性」が必要
先ほどのように、ことばは本来バラバラです。
しかし、映画のフィルムの一枚一枚を連続で流すとパラパラ漫画のように、分解されているものに流れができ、一つの映画として見ることができます。
同じように、ことばにも連続性をもたせることで文章を作り上げ、意味をなすものになります。
“ ことばのひとつひとつの単語は、映画のフィルムのひとコマひとコマに相当する。語と語の間にある切れ目、空白は、その前の後の生ずる残曳によって塗りつぶされて、意識されないものになる。フィルムを映写すると、映像が切れ切れにならないで続いて見えるのと同じ理屈である。
(※残曳(ざんえい):残像のこと)
(P.62-63)
このたとえ話は映像の連続性と、ことばの連続性を対比させた非常によくできたたとえ話です。
映画のフィルムと同じようにことばも連続的に流れていないと意味がわかりにくくなります。
わたしたちは無意識にことばを連続的に発することで、相手に意味を伝えているのです。
著者はことばにも「慣性」がはたらくと言います。
慣性とは、物体がそのままの状態でいようとするはたらきです。
たとえば、電車に乗っているとき、電車が動き出すとに体がぐらつきます。これは「止まり続けていよう」とする慣性がはたらくからです。
止まるときも同様に、ブレーキがかかると体がぐらつきます。これは「動き続けよう」とする慣性が働いているためです。
映画のフィルムと同じようにことばも連続的に流れていないと意味がわかりにくくなります。
わたしたちは無意識にことばを連続的に発することで、相手に意味を伝えているのです。
ことばにはたらく慣性の法則
著者はことばにも「慣性」がはたらくと言います。
慣性とは、物体がそのままの状態でいようとするはたらきです。
たとえば、電車に乗っているとき、電車が動き出すとに体がぐらつきます。これは「止まり続けていよう」とする慣性がはたらくからです。
止まるときも同様に、ブレーキがかかると体がぐらつきます。これは「動き続けよう」とする慣性が働いているためです。
映画の場合、「残像」という慣性がはたらき、バラバラのコマが連続的に見えます。
ことばの場合は「流れ」という慣性の作用がはたらきます。ある程度の速度で読むことで川のように流れを作り、文章として意味を表すことができます。
“ ことばでも、流れと動きを感じとるのは、ある速度で読んでいるときに限る。難解な文章、あるいは辞書首っぴきの外国語などでは、部分がバラバラになって意味がとりにくい。残像が消滅してしまい、切れ目が埋められないからである。
(P.63)
前述の文節や語に分解したものをそれぞれある一定のスピードをもってつなげることで意味をなすチェーンとなり「文章」ができあがります。
ことばにも物理法則があてはまる
ことばにも物理法則が当てはまるとは、本書を読んで感心してしまいました。
つまり、運動方程式
F=ma
(F=力、m=質量、a=加速度)
の物理の式に、ことばを適用させることができます。
「F」はことばのもつパワーです。
「m」は文字通りことばの「質」と「量」です。
「a」はことばの速さのようなものです。(厳密にはちがいますが)
ここで学べるのは、言葉数が少なくてもパワーは少ない、言葉の速さが遅いと連続性が失われて意味として理解できない、ということです。
“ 慣性にしても、残像にしても、いつまでも続くわけではない。しばらくすると消滅してしまう。ゆっくり動いている物体においては、慣性ははっきりしない。映画のフィルムもごくゆっくり映写すると、画面は明滅して、介在する空白部がスクリーン上に映し出され、連続性は崩れてしまう。
(P.63)
まさか、ことばの話から物理法則につながるとは、執筆していて思いもよりませんでした。
以上より、相手にことばをつたえる上で大切になるのは、以下となります。
・ことばの質量、すなわち「質」「量」
・ことばの連続性、すなわちことばの速さ
ことばの質が高い(相手の理解度に合っている)。語の量も多すぎず少なすぎず適切。そして流暢に(映画のように連続性をもって)伝えることができれば、聞き手は非常に理解しやすくなります。
たとえ話をはじめ、ことばを相手に伝える際に大切な式・要素となりますので、覚えておきましょう。
まとめ
・ことばには連続性、速さが必要
・ことばにも慣性がはたらいている
・言葉は物理法則(運動方程式)に適応できる
以上、最後まで読んでくださりありがとうございました。
ヒデヨシ
Photo by *- mika -* / flickr
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