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2016年7月12日火曜日

話が脱線する授業が面白いワケ|思考の整理学のたとえ話


『思考の整理学』たとえ話シリーズリンク集はこちら


こんにちは、ヒデヨシです。

『思考の整理学』(外山滋比古 著、筑摩書房)は1986年に第一刷が発行され、刊行30年経った2016現在、200万部を超える大ベストセラー本で時代を超えたバイブルとして今も多くの人から愛されている一冊です。



本書には数えきれないほどのたとえ話が使われています。

それぞれが学び深いものばかりであるため、たとえ話が上手くなるブログとして「思考の整理学のたとえ話」をシリーズ化することにしました。

(『思考の整理学』たとえ話シリーズリンク集はこちら

今回は本書より、「脱線する授業はセレンディピティ」というたとえ話を紹介します。



セレンディピティとは



セレンディピティという言葉をご存知でしょうか。

セレンディピティ(serendipity)とは、素敵な偶然に出会ったり、予想外のものを発見すること。また、何かを探しているときに、探しているものとは別の価値があるものを偶然見つけること。平たく言うと、ふとした偶然をきっかけに、幸運をつかみ取ることである。
(出典:Wikipedia「セレンディピティ」頁)


たとえば、掃除をしていたとき、偶然にも、昔なくしたと思っていた指輪がみつかるといった現象です。

これは誰にでも起こり得ることです。すでに何度も体験している方もいるかも知れませんね。



学校の授業、覚えてます?



昔の学生が訪ねてきて、脱線の話が実におもしろかったと言う。(中略)一体どういうクラスにいたのか、とたずねてみると、使ったテクストすらはっきりしないのである。それでいて、脱線して話したことは鮮やかに覚えているのである。

だいたい、学生というものは、授業、講義のねらいとするところには興味をもっていない。年がたてば忘れてしまうのは当然。ひょっとすると、はじめから、そもそも頭に入っていないのかもしれない。
(P.70)


学生あるあるですね。

実際、ゼミの内容を覚えているかと言われると・・・ああ、ええ、もちろん覚えていますとも。

あなたはどうでしょうか。学校の授業を思い返してみてください。

一番印象に残っている授業の内容はなんですか?

それを今語ることはできますか?

「あの先生は厳しかった」、「テストが持込OKだから楽だった」、「代返(本人の代わりに出席すること)できた」、「他の授業に潜り込むのが楽しかった」など。

(ああ、自分のろくでもない記憶が恥ずかしい。)

実際のところ、授業の内容よりもその周辺の雰囲気を覚えていることの方が多いのではないでしょうか。



話が脱線する授業が面白いワケ



著者は「話が脱線する授業」にたとえて、セレンディピティについて説明しています。


それに比べて脱線には義務感がともなわない。本来は周辺的なところの話である。それが印象的でいつまでも忘れられないというのは、教育におけるセレンディピティである。教室は脱線を恥じるには及ばない。(中略)われわれはそういう気軽な話のうちに多くのことを自らも学び、周りのものにも刺戟(しげき)を与える。
(P.70-71)


授業で脱線する話は「義務感」がなく、授業の本筋ではないためリラックスして聞くことができます。

また、内容は本題の授業よりも面白いことが多く、能動的に話を聴く姿勢になりアイデアが膨らみます。

リラックスできて能動的な姿勢になるため、話が脱線する授業は面白くて印象に残りやすいんですね。

そしてその本筋でない周辺的な知識が、新しいアイデアを見つけるセレンディピティの種となります。



セレンディピティを生み出すヒント



たとえば、Googleの「20%ルール」はセレンディピティの最たる例です。

20%ルールとは、業務に支障が出ない範囲で自由に活動できるというものです。業務とは関係ない、自分の興味のあるものを研究、開発することなども許されています。

GoogleはこのおかげでGmailやGoogleマップなどの素晴らしい製品のリリースに成功しました。

本業の仕事ではなく、関係ないこと、自分が能動的に没頭することによって革新的なアイデアを生むことができたのです。

他には「雑談」がセレンディピティを生む可能性があります。リラックスした状態で何気ない話をしているとハッと面白いアイデアが浮かびやすくなります。

脱線した面白い授業と同じ、「リラックスした状態」と「能動的な状態」がセレンディピティのよい条件のようです。



セレンディピティでたとえ話も上手くなる



たとえ話が上手くなるブログでも、セレンディピティによって生まれたたとえ話の記事は数多くあります。

以下のように、一見ありえない組み合わせのアイデアのたとえ話を紹介してきました。(クリックで記事が開きます)


「セックス」と「ピザ」

「ビッグバン」と「恋愛・浮気・不倫」

「ダジャレ」と「喫煙」

「ジミー大西」と「教育革命」

「ことば」と「慣性の法則」


これらは、たとえば、シャワーを浴びているときなど、リラックスした環境でふと思い浮かんだり、TEDの動画や書籍から学んだアイデアを寝かせてみたりして生まれたものです。

そのものを熟考して思いついたのではなく、ほとんどは別のことを考えていたときに得られたアイデアです。


たとえ話は「相手に伝えたいこと」と「相手の知っているもの」との結びつきを考える必要がありますので、アイデア同士を結びつけるよいトレーニングになります。

良いアイデアを生み出すために、さきほど学んだセレンディピティの条件を再現すれば、面白い発想のたとえ話を生み出すことができるでしょう。


一点、意識してほしいのは、何も考えていないところには何も生まれません。急に天から革新的なアイデアが降ってくるということはないということです。

セレンディピティは普段から考えているものがあって、その周辺から思わぬアイデアの結びつきが得られます。

ですので、何もないところから画期的なアイデアが生まれるということはめったにありません。その点は注意してください。

普段から考えているからこそ、思考は整理されて、思考のネットワークが広がりアイデアが生まれます。

日頃から能動的かつリラックスして思考を巡らせて、たとえ話も上手くなりましょう!



まとめ



・セレンディピティは誰にでも起こりうる

・話が脱線する授業は、リラックスして能動的に聴くから面白い

・セレンディピティを利用して、面白いアイデアやたとえ話を生み出そう



以上、最後まで読んでくださりありがとうございました。

ヒデヨシ


Photo by Dave Wilson Cumbria / flickr





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