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2016年7月5日火曜日

面白い書評や論文はビールのように醗酵させてできあがる|思考の整理学のたとえ話


『思考の整理学』たとえ話シリーズリンク集はこちら


こんにちは、ヒデヨシです。

『思考の整理学』(外山滋比古 著、筑摩書房)は1986年に第一刷が発行され、刊行30年経った2016現在、200万部を超える大ベストセラー本で時代を超えたバイブルとして今も多くの人から愛されている一冊です。



本書には数えきれないほどのたとえ話が使われています。

それぞれが学び深いものばかりであるため、たとえ話が上手くなるブログとして「思考の整理学のたとえ話」をシリーズ化することにしました。

(『思考の整理学』たとえ話シリーズリンク集はこちら

今回は本書より、「ビールのように思考を醗酵させる」というたとえ話を紹介します。



良い発想のできる過程はビール作りのようなもの



著者は、面白い書評、論文の発想ができる過程をビール作りにたとえて紹介しています。

紹介されている手順は以下の3ステップ

  1. 素材をあつめる
  2. 醗酵素を用意する
  3. 寝かせる

具体的にどのような方法か見ていきましょう。本書では文学研究を例に説明しています。



1.素材をあつめる



文学研究ならば、まず、作品を読む。(中略)読んでいくと、感心するところ、違和感をいだくところ、わからない部分などがでてくる。これを書き抜く。繰り返し心打たれるところがあれば、それは重要である。わからないなぞのような箇所が再三あらわれれば、それも注意を要する。こういう部分が素材である。
(P.31)


まず、書評は何よりも本を読むこと。そして、読んでいて自分自身が共感することろ、疑問に思うものをピックアップしてメモしておくなど、書評や論文を執筆する材料としてそろえておきます。



2.醗酵素を用意する



醗酵素(はっこうそ)とはいわゆるビール酵母のことです。このビール酵母は書評や論文のエッセンスになります。


ビールを作るのに、麦がいくらたくさんあっても、それだけではビールはできないと同じことである。これに、ちょっとしたアイディア、ヒントがほしい。それは作品の中に求めるわけには行かないが、どこと決まっているわけでもない。時には週刊誌を読んでいても、参考になることにぶつかるときがある。他人と雑談をしていて、思いもかけないヒントが浮かんでくることもある。読書、テレビ、新聞など、どこにどういう面白いアイディアがひそんででいるかもしれない。このヒント、アイディアがビール作りなら醗酵素に当る。
(P.31)


書評や論文を書くにも斬新な角度からの切り口で書いた方が面白いですよね。それを満たすためには醗酵素は欠かせません。

どのように醗酵素を探すかというと、アイディアを組み合わせようということです。

一見関係ないものとのアイディアの掛け合わせによって、今までにない視点での書評、論文の執筆が可能になります。

普段からアイデアを組み合わせることができないかと意識することが大切です。



3.寝かせる



アイディアと素材さえあれば、すぐ醗酵するか、ビールができるのか、というと、そうではない。これをしばらくそっとしておく必要がある。(中略)ここで素材と酵素の化学反応が進行する。どんなに良い素材といかに優れた酵素とが揃っていても、いっしょにしたらすぐアルコールになるということはあり得ない。頭の中の醸造所で、時間をかける。あまり騒ぎ立ててはいけない。しばらく忘れるのである。
(P.32)


本を読んで材料を集め、多方面からアイディアになるだろうものを集め、それを一緒にします。そしてビールの醸造と同じように、材料同士を合わせて寝かせる必要があると著者は言います。

では一体いつまで寝かせれば良いのでしょうか。

それについても著者は言及しています。


頭のアルコール作りは、ひとによって、また、同じ人間でも、場合によって、醗酵までに要する時間が違っている。しかし、醗酵が始まったとなればそれを見すごすことはまずないから安心してよい。自然に、頭の中で動き出す。おりにふれて思い出される。それを考えていると胸がわくわくしてきて、心楽しくなる。そうなればすでにアルコールの醗酵作用があれわれているのである。
(P.34)


醗酵が始まる、すなわち面白いアイデアができると自分の中ですぐにわかるのだといいます。「これだ!」そう思い、わくわくして執筆が進むことでしょう。



良い書評や論文執筆には時間がかかる



以上のように、3つの要素によって斬新で面白い書評や論文を執筆することができます。

「ひらめいた」はもう古い。アイデアは「結露した!」でたとえよう|TED|Steven Johnson|スーパープレゼンテーション』の記事にて紹介していますが、かの有名なダーウィンの自然淘汰説も同様に、パッとひらめいたのではなく、アイディアの材料同士が寝かされた結果できあがったものでした。

優れたアイディアとは長期にわたり少しずつ蓄積し、蓄積された小さなアイディアがぶつかる環境が必要なのです。

今回の場合は「(頭の中の)ビールの醸造所」ということになりますね。

締め切りに迫られる中、アイディアを悠長に寝かせておくというのも現代では難しいかもしれませんが、材料を一通りそろえたら寝かせてみましょう。

美味いビール作りに焦りは禁物ですから。



まとめ



・面白い書評や論文執筆はビール作りにたとえよう

・面白い書評や論文作りの3ステップ
  1. 素材をあつめる
  2. 醗酵素を用意する
  3. 寝かせる

・アイディアは時間を掛けてゆっくり熟成させよう



以上、最後まで読んでくださりありがとうございました。

ヒデヨシ


Photo by Cambridge Brewing Co./flickr





『思考の整理学』たとえ話シリーズリンク集はこちら


【たとえ話が上手くなるサイト】
PARABLE ANTENNA


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