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2015年9月30日水曜日

『Xiaomi(シャオミ)世界最速1兆円IT企業の戦略』のたとえ話


こんにちは、ヒデヨシです。


「Xiaomi(シャオミ)」と聞いてあなたはピンとくるでしょうか。


Xiaomiは中国のスマホ・ソフトウェアメーカーです。canalysの調査によると、2015年8月3日現在、Xiaomiのスマートフォンはアップルやサムスンを抜いて中国市場で1位のシェアを獲得している超人気ブランドです。

人気の理由は超低価格・超高品質。なんとたった5年で年商1兆円を達成した怪物企業です。年商1兆円になるまでにはAppleで20年、amazonで13年、Googleでさえ達成に9年かかっていると聞けばその凄さがわかるでしょう。


書籍『シャオミ 世界最速1兆円IT企業の戦略』(陳潤 著、永井麻生子 訳、ディスカバートゥエンティワン)からは、Xiaomi創始者である雷軍(レイジュン)の熱いスピリット、時代を変えるビジネスモデル、ユーザーに焦点を当ててファンを獲得する為の根本的な考え方などを学ぶことができます。中国トップ企業の製品開発のノウハウを知ることができるので製品開発、マーケティング、経営者の方におすすめの一冊です。


今回は、本書より心に残ったたとえ話を紹介していきます。教訓を含んだ学びの多いたとえ話ばかりですので是非楽しんでいってください。




『Xiaomi(シャオミ)世界最速1兆円IT企業の戦略』のたとえ話



風の吹くところに立てば、豚だって飛べる(P.5)


「飛べない豚はただの豚だ」の名言とも捉えられるたとえ話。時代の流れを見極め、条件を整えれば誰でも成功できるという雷軍の教訓。



雷軍はインターネット界のシーラカンス(P.23)


起業家として遅咲きの雷軍を生きた化石として皮肉った表現。



「油絵はできる限り離れて見る。そうすればよく見える。近づきすぎると、その絵の中の黒と白がどんな意味を持っているか理解できない。しかし遠くから見ると、黒は白を引き立たせるためのものだとわかる。そしてもっと離れると、絵全体の意味がわかる」(P.45)

レノボグループの創始者、柳伝志の言葉。視野を広げて物事の全体を把握することの大切さを絵画にたとえている。



ユーザーを神と思うな、友達と思え(P.55)


お客様を「神様」ととらえると距離が遠い。「友達」として捉えることで、一緒に歩いていくパートナーとして親しみをもって顧客満足に尽くすことができる。Xiaomiが最も大切にしている理念。



財布やカード入れの中で様々なカードがごちゃごちゃになってしまうという問題は誰しも経験したことがあるだろう(P.75)


不満が大きいほど大きな市場が眠っている。誰しもが体験したことのある日常の不満に着目してニーズを発掘したたとえ。



スマホという「風」をつかんでから、シャオミは巨人の肩に立っているかのように、Appleが生み出したスマホ市場と、Androidのシステムをもとに、「藍より青し」の大成長を遂げていった(P.91)


バッテリー消費が早い、電波が不安定、すぐフリーズするなど、既に市場を開拓しているiPhoneやAndroidの不満を見つけ、自社のスマホを「いい使用感」に改善し、雷軍は成功の風をつかんだ。



ベンツ、BMW、はもちろん、Apple、サムスンなどグローバルなブランドのイノベーションもすべて、その時代ごとの「風の通り道」に立って改良を加えていったからこそ生まれたものなのだ(P.92)


時代に合った模倣と改良を繰り返すことでイノベーションを生み出すことができる。



「ユーザー歪曲空間」とは(中略)映画の「スタートレック」に由来する。宇宙人が自分の精神力を通じて世界を全く新しいものに作り替える、という意味だ(P.99)


常識に当てはまらない全く新しい存在(イノベーター)が、カリスマ的な力を発揮して常識をねじ曲げていく。新しい常識のもとに新しいファンを生み出したXiaomiをあらわしたたとえ話。面白い。



インターネットへの依存が激しいため、90后(1990年代生まれの若者)は「フィードバック飢餓世代」とも言われている。ひとつの動作や段階を終えた時にフィードバックや激励が得られないと我慢できない(P.106)


日本で言う「ゆとり世代」のように、中国にも年代ごとに若者の特徴があるよう。SNSでよく見かけるかまってちゃんが重要なユーザーになる。



このやり方はラジオの放送に似ているね。多くの人が熱心に放送を聞く。なぜなら、自分のメッセージや電話が放送されるかもしれないからだ(P.108)


Xiaomiのスマホは熱狂的なファンの要望を多く取り入れている。自分の意見がスマホのアップデートに反映されてうれしい!という「達成感」を得る仕組みをラジオの生放送にたとえている。


『蛸』のように、全ての業者がシャオミと提携できる(P.131)

蛸が足を8方向へ広げるように、Xiaomiを中心としてサプライヤー、工場、部品業者、ブランド業者、動画業者など全てに価値を組み込めるバリューチェーンができあがっている。



舟は小型の方が扱いやすい。シャオミは小型船方式でやっていく(P.139)

Xiaomiはスマホの予約数に応じて生産する方式のため在庫を抱えずに済む。市場の変化に迅速に対応できることを小回りの利く小型船で表現している。


インターネットの時代においては、大きな魚が小魚を食らうのではない。速い魚が遅い魚を食らうのだ(P.143)


スピードこそが現代のビジネスの強力な武器であることを表したたとえ話。的確に表現していて上手い。



資金は企業が発展するための血液だ (P.143)


資金が回らなければ、ドロドロの血液のようにビジネスも滞る。健康と経営を対比したシンプルでわかりやすいたとえ話。



シャオミを外国の企業となぞらえるなら、Appleに近いと思う方もいるかもしれない。しかし、私は、シャオミはGoogle的要素を持ったAmazonだと考えている(P.157)


Google的要素とはAndroidベースで中国のニーズに合わせてつくったから。Amazon的要素とはAmazonがKindle(ハード)で稼いでいないようにスマホ(ハード)ではなくインターネットサービスで稼いでいるから。2つの長所を上手く合わせた表現。



たとえていえば、これまでの企業は消費者の頭蓋骨を割って無理矢理に頭の中に入ろうとしていたが、今は五感から自然に大脳に入り込んでいるイメージだ。(P.173)

『頭蓋骨を割る』典型的なやり方とは、長期に渡って広告を打ち続けてユーザーを洗脳する手法などを指す。一方、『自然と大脳に入り込む』とは、ユーザーを巻き込み、口コミで薦めてもらうやり方だ。



一人ひとりの顧客に丁寧に対応できるような小回りのきく行列のできる「小さなめしや」のような会社を作りたいと考えている(P.181)


小さなめしやは店と客との距離感が近く、個人単位で仲良くなることができる。大きなレストランでは難しい、親身なサービスを提供したいという想いが込められている。



ある携帯電話ブランドでは一年間に広告を20億元も使っていると聞きました。(中略)街一杯に広告を打ち、数百元の携帯電話を数千元で売っている。まるで、中身はたいしたことがないのに高い値段のつく健康商品のようだ。(P.220)


良いものを作っていれば自然と口コミで広がる。自分の製品に自信が無いから巨額の費用を投じて広告を打つのではないかという雷軍の鋭い問題提起。



シャオミハウスを体験したユーザーは、口々に「スタッフが友人のようだった」と語った。(P.253)


シャオミハウスとは、メンテなどをしてくれる街のスマホショップ。「ユーザーを神と思うな、友達と思え」という想いが顧客にも伝わっている。



「競争が少ない市場では、真のプレイヤーは育たない。山中に虎がいなければ、大王がいても意味がないのと同じように」(P.261)


中国のことわざ「山中无老虎,猴子称大王」より。直訳は「虎がいないとき、サルが王になる」。強いものがいなかったので、才能がないのにリーダーになるという意味。競争こそが品質を高める。



ビジネスの場は戦場だ。(P.270)


もうそのまま。



競争することの最大の目的はライバルを打ち負かすことではない。自らを発展させることだ。競争は、企業に取っての砥石である。研げば研ぐほど、鋭く光るようになる。(P.275)


競争することで自分自身の良い部分、悪い部分に気づくことができる。短所を克服し長所を伸ばす。



3回死んだ企業だけが、本当に成功した企業だといえる。焼かれても死なない鳥こそが鳳凰と呼ばれるように(P.281)


失敗は成功のエッセンス。失敗しても諦めず継続することで雷軍は成功の秘訣をつかんだ。



成功はコピーできない。自分がやりたいことをやる、それが成功だ(P.281)


たとえ話ではないけれど、心に響いたので入れました。うん、その通り!




いかがでしたか。たくさんのたとえ話を通して雷軍の、Xiaomiの成功の秘訣を感じ取っていただけたでしょうか。本書は専門用語がそこまで多くないので、Xiaomiの導入書として私のような初心者でも読むことができます。スマホ業界に興味のある方は読んで損はありませんよ。


売りたいものを作って売るのではなく、ユーザーが買いたいものをユーザーに作らせて買わせるというユーザーに焦点を当てた製品づくり・ビジネスモデルは本当に参考になります。


スマホ市場の競争は今後さらに激化するでしょう。生き残る製品をつくるのは実は私たちなんですね。どんどん製品のフィードバックをして使いやすいものにしていきましょう。



以上、最後まで読んでくださりありがとうございました。


ヒデヨシ



(参考・引用)

Asian cafe 中国語教室「中国語のことわざ」


【たとえ話が上手くなるサイト】
PARABLE ANTENNA 


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