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2015年12月4日金曜日

世界経済はヨット世界一周のようなもの|TED|Ellen MacArthur|スーパープレゼンテーション


こんにちは、ヒデヨシです。


誰でも人生で一度は絶望する瞬間があるでしょう。新品の絨毯にバターの付いたトーストを落としてしまう(しかも下向きで!)とか、買ったばかりのiPhoneを手からするりと落としてしまう(しかも下向きで!)とか!


人生は大抵、絶望するような困難が立ちはだかりますが、ここにも絶望を体験した女性がいます。


Ellen MacArthur(エレン・マッカーサー)は幼少の頃からの夢であったヨットによる世界一周を単独ノンストップで、世界最速記録を出した女性です。


彼女はヨットでの旅の途中、絶望的な状況を何度も克服してきました。そのときの状況をTEDカンファレンスにて、ユニークなたとえ話を使って表現しています。


また、洞察力が鋭い彼女は「ヨット」での自身の体験と「循環経済」を結びつけた発想から、経済学者として第2の人生をスタートさせました。一体どんな結びつけをしたのか、こちらも注目です。


今回はEllen MacArthurのTEDカンファレンスから、鋭い洞察力と発想力によって結びつけられた数々のたとえ話を紹介します。




スピーカー:Ellen MacArthur(エレン・マッカーサー)

タイトル:The surprising thing I learned sailing solo around the world「私が世界一周単独航海で学んだ意外なこと」




どうしようもない孤独を表したたとえ話



クリスマス当日、Ellen MacArthurは極寒の南極海にいました。オーストラリアの南、最寄りの町から3,000kmは離れた場所です。飛行機やヘリコプターは使えず、救助の船がくるには4日かかり、町に帰るのも4日かかり、トラブルが起こったら死ぬような危険な場所です。


「一番近くにいる人は宇宙ステーションにいる人かもしれない」


もはや地球上ではなく宇宙の人に助けを求めた方が早いという孤独を表したたとえ話です。近くには本当に誰もいないという孤独が伝わってきます。(実際、宇宙ステーションは地球のおよそ400km上空を飛んでいるので距離だけでみたら本当に宇宙ステーションの人が一番近いかもしれません。)



絶望的な運転状況を表したたとえ話



南極海で嵐に飲まれたらひとたまりもありません。低気圧で天候が悪い中、嵐の近くを通り、心臓のように休まず動き続ける海を全速力で駆け抜けます。ただ、その状況が絶望的。


「真っ暗な夜道、時速160kmの車が道を外れ、ワイパー、フロントガラス、ヘッドライト、ブレーキが無い状態で走るようなもの」


あなたが車を運転するならこの恐ろしさが伝わってくるでしょう。凍てつく南極海でこれは絶望としか言えませんね。このたとえ話には会場からもどよめきが起こります。




「限りある」という絶望と世界を結びつけたたとえ話



一度陸地を出たらゴールまで陸に上がれません。もちろん食べ物やトイレットペーパー、歯磨き粉までも最初に準備した状態から無くなるしかありません。


あなたはこの「限りある」状況に直面したことがあるでしょうか。まるで漫画『ワンピース』に登場するサンジとオーナー・ゼフのように、生きる為の食べ物が底をつきるという恐怖、「限りある」という絶望をEllen MacArthurは実感しました。


彼女はゴールして世界最速記録を樹立したあと、「限りある」ことについて意識するようになりました。ヨットでの「限りある」という体験と、資源を消費していく経済とが結びつき電撃が走ります。


「ヨットの上ではそこにあるものが全てなのです。それ以上はありません。突然、点と点が結びつきました。世界経済も同じなのです。人類史上一度だけ持てる、限りある資源に私たちは完全に依存しています。」


まさか、Ellen MacArthurは現代の世界経済はヨットのようなものだと、たとえました。そして幼い頃からの夢である「ヨット」をとるか、ひらめきで結びついた「世界経済」をとるか、たとえ話を用いて彼女は迷います。


「石をどかして、石の下に隠れたものを思いがけず見つけて2択をするような状況でした。石を脇に置いて、石の下のものを詳しく調べるのか、それとも石を元の場所に戻し自分の夢の仕事であるヨットに戻るのか。」


彼女は経済学者という道を選び、新しい海へと旅旅立ちました。




食物連鎖のような循環経済を目指そう!



食物連鎖というシステムはよくできています。「消費」するのではなく、生物の糞尿や死骸にいたるまで全てを代謝させ、初めから「循環」させることを目的に機能しています。


シンプルに、モノを生き物のようにとらえてデザインすることにより、モノの寿命が来た後も資源を無駄なく代謝させることができるとEllen MacArthurは言います。


今普及しているカーシェアリングサービスは良い例です。循環システム用にデザインされた車は生物の糞尿や食物のカスなどで作ったバイオ燃料で走り、寿命がきたら分解して部品を再構築して無駄をゼロにし、廃棄物まで全てを計画に含め代謝させます。もちろん、普及する車の台数自体も減る為に資源の削減にもなるわけですね。


あなたは急に雨が降ってきたとき、コンビニの傘をすぐに買っていませんか?調理され、パッケージに包まれたお弁当を毎日のように食べていませんか?もちろん、人の消費行動によって経済は回っていることは事実ですが、これからは循環型経済にシフトしていかなくてはなりません。


モノがあふれる現代社会だからこそ、簡単にモノを消費しない仕組みを意識して大切に使っていかなくてはなりませんね。モノを大切にすることを思い出す、刺激のあるプレゼンでした。




まとめ


・自分の絶望的な体験をいろいろな怖いものにたとえてみよう


・たとえ話を通して自分の体験を役立つものに結びつけよう


・食物連鎖のような循環社会をめざして行動を変えてみよう




以上、最後まで読んでくださりありがとうございました。


ヒデヨシ



Photo by TED Conference via flickr




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