photo credit: Scandic Hotels via photopin cc |
こんにちは、ヒデヨシです。
みなさんは健康的な食生活を送っていますか?
気づいたらカップラーメン、ハンバーガー、炭酸飲料、甘いコーヒーなど、頻繁に摂取していませんか?それを子供たちと共有していませんか?それが習慣化していませんか?
現代では悪い食生活によって死に至る人が大勢います。アメリカでは人口の3分の2が太り気味以上であり、このままでは未来の子供達の健康にも害が出てしまいます。
この現代の悪い状況を料理を通して改善しようとしているのがJamie Oliver(ジェイミー・オリバー)氏です。彼は料理を通して未来の子供達の健康を守るために、日夜活動をしています。
今回はオリバー氏のTEDカンファレンス(Eテレのスーパープレゼンテーションより)から、私たちそして子供達の食生活を改善するためのヒントを紹介します。
そして18分間に8回も拍手をもらえたオリバー氏のスピーチを通して、人から共感を得る際の基本的で重要なテクニックを学びます。
スピーカー:Jamie Oliver(ジェイミー・オリバー)氏
タイトル :Teach every child about food「子ども達に食の教育を」
アメリカでは人口のおよそ3分の2が太りぎみか肥満と言われており、深刻な社会問題になっています。
統計を見てみると、実は犯罪が原因で死亡している人数よりも、不健康や食生活(食に関する疾患)が原因で死亡する人数の方が圧倒的に多くなっています。アメリカだけではありません。メキシコ・オーストラリア・ドイツ・インド・中国などの国でも肥満は深刻な社会問題となっています。
また、肥満はタバコよりもお金がかかります。アメリカの総医療費の10%は肥満関連でありその額は年間およそ1500億ドルです。10年後にはこの倍になる見込みで、限りある財政状況では今後対応が困難となります。
これは大人だけの問題ではありません。アメリカで不健康な州の一つであるウェストバージニア州には16歳にして余命6年の少女がいます。重度の肥満で、肝臓がぼろぼろの状態になっているためです。他にも12歳で160kgある少年や肥満などの不健康が原因で家族を亡くした方なども紹介されました。心苦しい話です。
肥満・食事関連の病気は本人だけでなく周りの人をも傷つけるのだとオリバー氏は強く主張します。今改善しなければ、子供達に未来は無いのだと。
私たちの食生活を構成する3要素
では、食の何を改善すればよいのか。私たちの食文化に密接に関わるの3つの要素である「店」「家庭」「学校」を改善することで、食の環境を改善することができるとオリバー氏は主張しています。まずはそれぞれの要素が抱える問題を見ていきます。
<店>
ファストフードやスーパーなどは今や大企業が経営していますが、コストを抑えるために地元の食品よりも安い輸入品を多く提供しています。地産地消の新鮮な食物の割合は減り、現在では大半が加工され添加物も使用されています。
食品表示も酷い有様で売る側にとって都合のいい表現となっているようです。たとえば糖分たっぷりのものを「低脂肪」と謳っていたりします。食品表示の問題は日本でも話題になりました。
食品サイズも問題です。アメリカのファストフード店で頼むと、レコードサイズの食べ物やバケツサイズのドリンクが出てきます。
<家庭>
近年、家庭では食文化の伝承が行われていないようです。母親と一緒に料理をした経験は誰もが持つ記憶かと思いましたが、ここ数世代で親から子に料理のノウハウを伝える機会が無くなってきています。結果、料理を知らない親が増え、子供に教えることができず、その子供も料理を知らない親になるという負のスパイラルに陥り、外食やレトルトフードなど偏食をしてしまいます。
<学校>
日本とは異なり朝昼の2回給食があります。現在、およそ3100万人の子供が給食を食べていますがオリバー氏曰く、今の給食はファストフードのようなもので新鮮な食べ物は全然なく、添加物の多さは尋常ではない。フライドポテトが野菜扱いで朝食にピザが出てくる有様だそうです。
衝撃的だったのは、子供達が野菜を知らないことです。紹介されたVTRでは子供達に普通の野菜を見せていくのですが、トマトをポテトと答えたり、ナスを洋梨と答えたり、唖然とする回答が返ってきます。今の子供達は加工され出来上がった形の料理に触れることが多くなり、その食べ物が何からつくられているのか知らないのです。
さらに驚くことに、健康に良いはずの牛乳が肥満の原因になります。日本の牛乳とは異なり、アメリカの牛乳には炭酸飲料並みに糖分が含まれており、朝昼の給食時にそれを飲みます。学校にいる5年間に、牛乳だけで工事現場にある一輪カート一杯分の砂糖を摂取することになります。これは誰がどう見ても児童虐待であるとオリバーさんは主張しています。
健康的な食文化をつくるために
不健康になる原因は私たちの身の回りに多く存在しますが、幸いなことに肥満や不健康の問題は防ぐことができます。どのようにして今の酷い状況を治すのか、それには私たちだけでなく企業や国も巻き込み、前述の「店」「家庭」「学校」の食の環境を改善する必要があります。
<店>
・スーパーでの買い物時に食のアドバイザーをつけ、旬の食材や調理法を教えてもらいながら買い物できる環境を整える
・大手食品会社が食育に力を入れる
・ファストフード業界に対して行政がが注意を呼びかけ、糖分・塩分・脂肪分を減らす
・食品表示をきちんとする
・従業員に提供する食事も健康に配慮する
<家庭> ・料理の伝承を再び始める
・料理を3人に教え、その3人がさらに3人に教えていく(25回でアメリカ全体に行き渡る)
<学校>・学校の給食は地元産の新鮮な食材を調理して出す
・学校を卒業するまでに10の料理レシピを学んで料理の基本を心得る
また、オリバー氏が立ち上げた「ハンティントンキッチン」では、地元の料理人から無料でレッスンをしてもらえます。他には学校の食育や給食改善をし、具体的な成果を出しています。このキッチンがあれば地元地域の人々の交流が深まり、地域内での消費が増加する良循環が生まれます。
アメリカの学校では、地産地消の給食、農業体験、食育などの、健康的な食文化づくりが広がってきていますが財政難のため行えない学校もあります。その様な学校の為に、専門家が資金を援助できる体制を整えること、企業がオバマ夫人の取り組み(健康的な給食政策)を支援することなども提案しています。
そして、何より大事なのは子供の食育が行われるように強固で継続的な運動を展開すること、そして家庭料理を取り戻すために、みんなが肥満と闘えるようにするために私たち一人一人が努力することで世の中が変わるのだとメッセージを残してくれました。
18分間に8回も拍手をもらえるシェフのプレゼンテクニック
オリバー氏のプレゼン終了後、会場はスタンディングオベーションに包まれました。18分間のプレゼンで8回も会場から拍手が起こりましたが、これは約2分に1回拍手が起きていることになります。
拍手が起こるということは会場の人々が共感を得ているということになります。スピーチの冒頭で観客を「当事者」に変えたことでこれだけ多くの共感を得ることに成功しています。
オリバー氏は冒頭で「子供もしくは孫がいる方は手を挙げてください」と問いかけました。それに対して会場のほとんどの人が手を挙げました。そしてオリバー氏は「あなた達が自分の子供の寿命を10年間縮めているんです」と続けます。
そんなことを言われたら、誰でも不安になりますよね。この時点で、このスピーチは自分に関係がありこのスピーチから多くを学ぶべきなんだと会場の人たちの聴く姿勢は「受動的」から「能動的」になりました。
オリバー氏のスピーチ内容は本当に素晴らしいものであり、世の中を変えるのだという熱い想いが伝わってきます。大切な子供の未来を良くしたいという会場の人の想いも重なり大きな共感が生まれ、その結果多くの拍手が起こりました。
子供達の将来を考えさせられ、伝える側と聴く側が一体となった理想的なプレゼンでした。
これは大人だけの問題ではありません。アメリカで不健康な州の一つであるウェストバージニア州には16歳にして余命6年の少女がいます。重度の肥満で、肝臓がぼろぼろの状態になっているためです。他にも12歳で160kgある少年や肥満などの不健康が原因で家族を亡くした方なども紹介されました。心苦しい話です。
肥満・食事関連の病気は本人だけでなく周りの人をも傷つけるのだとオリバー氏は強く主張します。今改善しなければ、子供達に未来は無いのだと。
私たちの食生活を構成する3要素
では、食の何を改善すればよいのか。私たちの食文化に密接に関わるの3つの要素である「店」「家庭」「学校」を改善することで、食の環境を改善することができるとオリバー氏は主張しています。まずはそれぞれの要素が抱える問題を見ていきます。
<店>
ファストフードやスーパーなどは今や大企業が経営していますが、コストを抑えるために地元の食品よりも安い輸入品を多く提供しています。地産地消の新鮮な食物の割合は減り、現在では大半が加工され添加物も使用されています。
食品表示も酷い有様で売る側にとって都合のいい表現となっているようです。たとえば糖分たっぷりのものを「低脂肪」と謳っていたりします。食品表示の問題は日本でも話題になりました。
<家庭>
近年、家庭では食文化の伝承が行われていないようです。母親と一緒に料理をした経験は誰もが持つ記憶かと思いましたが、ここ数世代で親から子に料理のノウハウを伝える機会が無くなってきています。結果、料理を知らない親が増え、子供に教えることができず、その子供も料理を知らない親になるという負のスパイラルに陥り、外食やレトルトフードなど偏食をしてしまいます。
<学校>
日本とは異なり朝昼の2回給食があります。現在、およそ3100万人の子供が給食を食べていますがオリバー氏曰く、今の給食はファストフードのようなもので新鮮な食べ物は全然なく、添加物の多さは尋常ではない。フライドポテトが野菜扱いで朝食にピザが出てくる有様だそうです。
衝撃的だったのは、子供達が野菜を知らないことです。紹介されたVTRでは子供達に普通の野菜を見せていくのですが、トマトをポテトと答えたり、ナスを洋梨と答えたり、唖然とする回答が返ってきます。今の子供達は加工され出来上がった形の料理に触れることが多くなり、その食べ物が何からつくられているのか知らないのです。
さらに驚くことに、健康に良いはずの牛乳が肥満の原因になります。日本の牛乳とは異なり、アメリカの牛乳には炭酸飲料並みに糖分が含まれており、朝昼の給食時にそれを飲みます。学校にいる5年間に、牛乳だけで工事現場にある一輪カート一杯分の砂糖を摂取することになります。これは誰がどう見ても児童虐待であるとオリバーさんは主張しています。
健康的な食文化をつくるために
不健康になる原因は私たちの身の回りに多く存在しますが、幸いなことに肥満や不健康の問題は防ぐことができます。どのようにして今の酷い状況を治すのか、それには私たちだけでなく企業や国も巻き込み、前述の「店」「家庭」「学校」の食の環境を改善する必要があります。
<店>
・スーパーでの買い物時に食のアドバイザーをつけ、旬の食材や調理法を教えてもらいながら買い物できる環境を整える
・大手食品会社が食育に力を入れる
・ファストフード業界に対して行政がが注意を呼びかけ、糖分・塩分・脂肪分を減らす
・食品表示をきちんとする
・従業員に提供する食事も健康に配慮する
<家庭> ・料理の伝承を再び始める
・料理を3人に教え、その3人がさらに3人に教えていく(25回でアメリカ全体に行き渡る)
<学校>・学校の給食は地元産の新鮮な食材を調理して出す
・学校を卒業するまでに10の料理レシピを学んで料理の基本を心得る
また、オリバー氏が立ち上げた「ハンティントンキッチン」では、地元の料理人から無料でレッスンをしてもらえます。他には学校の食育や給食改善をし、具体的な成果を出しています。このキッチンがあれば地元地域の人々の交流が深まり、地域内での消費が増加する良循環が生まれます。
アメリカの学校では、地産地消の給食、農業体験、食育などの、健康的な食文化づくりが広がってきていますが財政難のため行えない学校もあります。その様な学校の為に、専門家が資金を援助できる体制を整えること、企業がオバマ夫人の取り組み(健康的な給食政策)を支援することなども提案しています。
そして、何より大事なのは子供の食育が行われるように強固で継続的な運動を展開すること、そして家庭料理を取り戻すために、みんなが肥満と闘えるようにするために私たち一人一人が努力することで世の中が変わるのだとメッセージを残してくれました。
18分間に8回も拍手をもらえるシェフのプレゼンテクニック
オリバー氏のプレゼン終了後、会場はスタンディングオベーションに包まれました。18分間のプレゼンで8回も会場から拍手が起こりましたが、これは約2分に1回拍手が起きていることになります。
拍手が起こるということは会場の人々が共感を得ているということになります。スピーチの冒頭で観客を「当事者」に変えたことでこれだけ多くの共感を得ることに成功しています。
オリバー氏は冒頭で「子供もしくは孫がいる方は手を挙げてください」と問いかけました。それに対して会場のほとんどの人が手を挙げました。そしてオリバー氏は「あなた達が自分の子供の寿命を10年間縮めているんです」と続けます。
そんなことを言われたら、誰でも不安になりますよね。この時点で、このスピーチは自分に関係がありこのスピーチから多くを学ぶべきなんだと会場の人たちの聴く姿勢は「受動的」から「能動的」になりました。
オリバー氏のスピーチ内容は本当に素晴らしいものであり、世の中を変えるのだという熱い想いが伝わってきます。大切な子供の未来を良くしたいという会場の人の想いも重なり大きな共感が生まれ、その結果多くの拍手が起こりました。
子供達の将来を考えさせられ、伝える側と聴く側が一体となった理想的なプレゼンでした。
まとめ
・アメリカ人の肥満である割合は3分の2を超えている
・子供の食生活を正すには「店」「家庭」「学校」の3分野を中心に改革する必要がある
・話の早い段階で、伝えたい相手に問題意識をもたせ「当事者」に変え、聴く姿勢を「受動的」から「能動的」に変える
第一印象が大事なように、プレゼンも最初の段階で聴き手の心をつかむように心がけると、効果的に伝えることができるでしょう。
以上、最後まで読んでいただきありがとうございました。
ヒデヨシ
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・アメリカ人の肥満である割合は3分の2を超えている
・子供の食生活を正すには「店」「家庭」「学校」の3分野を中心に改革する必要がある
・話の早い段階で、伝えたい相手に問題意識をもたせ「当事者」に変え、聴く姿勢を「受動的」から「能動的」に変える
第一印象が大事なように、プレゼンも最初の段階で聴き手の心をつかむように心がけると、効果的に伝えることができるでしょう。
以上、最後まで読んでいただきありがとうございました。
ヒデヨシ
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