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こんにちは、ヒデヨシです。
カッコよくてオシャレなオフィスで働きたいとは多くの人が思うことです。私たちの生活空間はほとんど見た目にこだわりデザインされていますが、カッコよくてオシャレなオフィスで仕事をすれば仕事の効率は上がるのでしょうか。答えは「ノー」です。見た目を重視したデザインの建物は「効率よく働く環境」としての機能を削っている場合が多々あります。
効率よく仕事ができて健康で教育的にもよい空間を作るためには「音」をデザインすることが不可欠です。今回は、音を考慮して建物をデザインするサウンドコンサルタントのJulian treasure(ジュリアン・トレジャー)氏のTEDトーク(スーパープレゼンテーション)から私たちが騒音を避けるべき理由と、あえて「聞き取りづらい」表現を用いた効果的な表現方法を学びましたので紹介します。
スピーカー:Julian Treasure(ジュリアン・トレジャー)
タイトル :Why architects need to use their ears「建築家が耳を使わないといけないわけ」
不快な音のする環境にいるだけで、私たちの健康は損なわれ、集中力は奪われています。
日常生活では、オシャレなカフェでも相手と大声で会話しなくてはならなかったり、電車のアナウンスが聞こえず乗り換えに困ったり、人が設計したものが人をイラつかせてしまうことは多々あります。
アメリカのフロリダで600の教室で行われた授業の聞こえ方の実験では、教室の後ろの席だと壁の反響などにより言葉の明瞭度が50%になるという驚きの結果が出ました。授業の内容を習得できていないという訳ではないですが、内容を理解するのに苦労することは明らかです。
病院では人の足音、台車の通る音、会話、コール音、人工呼吸器、心電図など様々な音がありますが、その雑音レベルは悪化しており1972年に比べて2倍になっています。患者は睡眠不足やストレスなどから回復が遅れ、雑音は従業員が医療ミスを誘発する原因となるなど事態は深刻です。
不快な音の環境は私たちの日常生活の質だけでなく健康、行動、生産性にも悪影響を与えます。音を完全に無くすことはできませんが、音の響く空間を改善することで雑音を改善することができます。
音響特性をデザインして雑音をなくす
音が聞きこえにくい大きな原因は音の残響時間が長いことです。残響時間が長いほど音が残りコミュニケーションの障害となります。カラオケでエコーをかけた状態で会話すると音が反響して聴きづらいイメージです。
不快な音を減らすには「音響特性」を改善する必要があります。音の響き方を調整して残響時間を短くし、快適な空間をつくっていきます。一般的な部屋では1.2秒程度音が残りますが、この残響時間を音響処理技術や吸音材により0.4秒ほどまで下げることで雑音がなくなりクリアに聞こえるようになります。
例としてオペラハウスや音楽ホールなどは残響時間を計算して設計されているため、余計な響きがなくどこにいても素晴らしい音を聞くことができます。
ここで注目すべきなのは会話や周りの雑音はそのままでも、空間の音響を変えるだけで聞こえ方を大きく改善できることです。部屋の中で音を出さないことは難しいので、音の響き方を変えるだけでも十分な効果が期待できます。
騒音の中で生活すると心臓病になる!?
騒音の中で生活していると、心筋梗塞になりやすいという研究結果があります。
ドイツの研究によると65デシベル以上の音の中で生活していると、心筋梗塞などの心疾患が起こるリスクが高まるそうです。(Health effects caused by noise : Evidence in the literature from the past 25 year, H Ising, B Kruppa,2004,Volume 6,Issue 22, Page5-13)
私たちの生活でいう65デシベルの音とは、掃除機、洗濯機、目覚まし時計のアラーム、電話のベル、布団をたたく音などが当てはまります。(東京都環境局HP「生活騒音」より)
周りがうるさい状況では大きな声を出さないと話が相手に伝わりません。しかし大きな声を出すと心拍数が上がり心臓の負担となるため、心疾患へ拍車をかけてしまいます。さらにお互いコミュニケーションが成立しにくい状況にイライラとするため精神的にも良くありません。
毎日騒音の中で仕事や生活をしている場合は一日の内で少しでも静かで落ち着いた空間に身を置き、心と体を落ち着けリラックスさせることが長生きする秘訣のようです。
今日からあなたも音響プランナー
トレジャー氏は私たちが自分の家の「音響プランナー」になることを勧めています。
音響プランナーとは、空間の音響をデザインする人のことで誰でもなることができます。資格の勉強をするのではありません。ただほんのちょっとだけ生活の中の音に集中してみるだけです。
自分の家に帰り部屋で聞こえる音に耳を傾けてみましょう。どんな音が聞こえるでしょうか。そしてどのようにすればその「雑音」をなくすことができるでしょうか。
改善策としては、たとえば家に帰ってすぐテレビをつけるのではなく、ヒーリング音楽を聴いてみたり、普通のカーテンを防音カーテンに変えてみるなど、小さなことでも生活の音の質を変えることに気づくことができます。
今日から音響プランナーになり、自分の家に合った音響特性をデザインしてみましょう。
音を使った「聞き取りづらい」たとえ表現
トレジャー氏のプレゼンの中で驚きのたとえ表現がありました。
雑音があることで話が聞き取りづらいことを私たちに体験させるために、あえて雑音を流しながら話してみせたのです。レストラン、飛行機、病院、学校の教室などの雑音を流しながら説明してくれますが、これが本当に聞き取りづらい。字幕がなければ何を言っているのかほとんどわかりません。
相手に言葉が伝わりにくい状況はプレゼンでは積極的に避けるべきです。大きな音の中でしゃべるなんて伝わらないリスクしかないため普通は考えませんが、この演出により私たちは「聞き取りづらさ」を身をもって体験することができます。
たとえ話のコツは「イメージ化しやすい」ことと「共感できる」ことです。実際に聞き取りづらさを体験させることはイメージ化も共感も促すことができるため効果的です。
この他にも見えづらさを表現するのであればあえてスライドをぼかしてみたり、匂いを表現するのであれば実際に匂いをかがせてみると良いでしょう(会場に残るので強い匂いは避けるべきかもしれませんが)。
聴き手は実際に体験することで話にのめり込みますので、五感を使った表現は効果的な場面で積極的に取り入れていきましょう。
まとめ
・雑音のない静かな環境に身を置いて心も体もリフレッシュ
・音響プランナーになって生活の音を改善しよう
・あえて「聞き取りづらい」表現を利用してイメージ化・共感を促す
トレジャー氏はプレゼンの中で現代の教育を庭の水やりでたとえています。
「悲しいことに、かなり多くの水が植物に届く前に蒸発してしまいます。」
教室の悪い音響特性により、特に聴覚障害のある子供、第二言語で教育を受けている子供、内向的な子供(騒音環境での作業に集中できない)は授業の内容が伝わりにくいようです。
こういった子供達のための教育環境を整えることは私たちの責任の一つです。ほんの少し意識するだけで、身の回りの環境を変えることができます。その小さな一歩として音響プランナーになってみましょう。家の小さな変化が生活、仕事、教育の環境を変える第一歩となります。
子供のためにも、自分のためにも、私たちが音響プランナーになって小さなカイゼンを進めていきましょう。
以上、最後まで読んでくださりありがとうございました。
ヒデヨシ
たとえ話が上手くなるサイト
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騒音の中で生活していると、心筋梗塞になりやすいという研究結果があります。
ドイツの研究によると65デシベル以上の音の中で生活していると、心筋梗塞などの心疾患が起こるリスクが高まるそうです。(Health effects caused by noise : Evidence in the literature from the past 25 year, H Ising, B Kruppa,2004,Volume 6,Issue 22, Page5-13)
私たちの生活でいう65デシベルの音とは、掃除機、洗濯機、目覚まし時計のアラーム、電話のベル、布団をたたく音などが当てはまります。(東京都環境局HP「生活騒音」より)
周りがうるさい状況では大きな声を出さないと話が相手に伝わりません。しかし大きな声を出すと心拍数が上がり心臓の負担となるため、心疾患へ拍車をかけてしまいます。さらにお互いコミュニケーションが成立しにくい状況にイライラとするため精神的にも良くありません。
毎日騒音の中で仕事や生活をしている場合は一日の内で少しでも静かで落ち着いた空間に身を置き、心と体を落ち着けリラックスさせることが長生きする秘訣のようです。
今日からあなたも音響プランナー
トレジャー氏は私たちが自分の家の「音響プランナー」になることを勧めています。
音響プランナーとは、空間の音響をデザインする人のことで誰でもなることができます。資格の勉強をするのではありません。ただほんのちょっとだけ生活の中の音に集中してみるだけです。
自分の家に帰り部屋で聞こえる音に耳を傾けてみましょう。どんな音が聞こえるでしょうか。そしてどのようにすればその「雑音」をなくすことができるでしょうか。
改善策としては、たとえば家に帰ってすぐテレビをつけるのではなく、ヒーリング音楽を聴いてみたり、普通のカーテンを防音カーテンに変えてみるなど、小さなことでも生活の音の質を変えることに気づくことができます。
今日から音響プランナーになり、自分の家に合った音響特性をデザインしてみましょう。
音を使った「聞き取りづらい」たとえ表現
トレジャー氏のプレゼンの中で驚きのたとえ表現がありました。
雑音があることで話が聞き取りづらいことを私たちに体験させるために、あえて雑音を流しながら話してみせたのです。レストラン、飛行機、病院、学校の教室などの雑音を流しながら説明してくれますが、これが本当に聞き取りづらい。字幕がなければ何を言っているのかほとんどわかりません。
相手に言葉が伝わりにくい状況はプレゼンでは積極的に避けるべきです。大きな音の中でしゃべるなんて伝わらないリスクしかないため普通は考えませんが、この演出により私たちは「聞き取りづらさ」を身をもって体験することができます。
たとえ話のコツは「イメージ化しやすい」ことと「共感できる」ことです。実際に聞き取りづらさを体験させることはイメージ化も共感も促すことができるため効果的です。
この他にも見えづらさを表現するのであればあえてスライドをぼかしてみたり、匂いを表現するのであれば実際に匂いをかがせてみると良いでしょう(会場に残るので強い匂いは避けるべきかもしれませんが)。
聴き手は実際に体験することで話にのめり込みますので、五感を使った表現は効果的な場面で積極的に取り入れていきましょう。
まとめ
・雑音のない静かな環境に身を置いて心も体もリフレッシュ
・音響プランナーになって生活の音を改善しよう
・あえて「聞き取りづらい」表現を利用してイメージ化・共感を促す
トレジャー氏はプレゼンの中で現代の教育を庭の水やりでたとえています。
「悲しいことに、かなり多くの水が植物に届く前に蒸発してしまいます。」
教室の悪い音響特性により、特に聴覚障害のある子供、第二言語で教育を受けている子供、内向的な子供(騒音環境での作業に集中できない)は授業の内容が伝わりにくいようです。
こういった子供達のための教育環境を整えることは私たちの責任の一つです。ほんの少し意識するだけで、身の回りの環境を変えることができます。その小さな一歩として音響プランナーになってみましょう。家の小さな変化が生活、仕事、教育の環境を変える第一歩となります。
子供のためにも、自分のためにも、私たちが音響プランナーになって小さなカイゼンを進めていきましょう。
以上、最後まで読んでくださりありがとうございました。
ヒデヨシ
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