こんにちは、ヒデヨシです。
GDP、金融政策、消費者物価指数などニュースでよく聞く経済用語、あなたは人に説明することができますか?とか質問している私は、経済学ってよくわからないので何となくニュースを聞き流す日々…。
せめて一般常識の経済用語くらいは知っておきたい!そんなときに出会った『大学4年間の経済学が10時間でざっと学べる』(井堀利宏 著,株式会社KADOKAWA)は全て読まなくても、ディズニーランドのファストパスのように、ここだけ読めば大体OKというポイントが目次から紹介されていました。
その部分だけ読めば生活で知っておきたい経済学の基礎を知ることができるということで、早速手に取ってみることに。
本書の著者は東京大学の名誉教授として20年以上教鞭をとっている方。一般の人でも世の中のお金の動きを知ってもらい、人生の役に立ててほしいとの想いから執筆されたそうです。
本書の優れている点は中学校の数学知識(1次関数レベル)があれば内容を十分理解できること。また、全87ページに及ぶわかりやすいイラスト付きで理解を促してくれます。
そして、何より優れているのはたとえ話が非常に多いこと。なんと82以上のたとえ話が使われています。今まで出会った本の中でこんなにたとえ話を使っている経済学本は見たことがありません。
消費行動を「リンゴ」と「ミカン」の買い物でたとえたり、限界効用逓減の法則を居酒屋のビールでたとえたり(後述)。経済学というなかなか取っ付きにくいものを身近でわかりやすいものにたとえてイメージ化を促してくれています。
難しい内容を身近なものに結びつけて分かりやすくするという、たとえ話の理想が結晶化したような本です。
ミクロ経済からマクロ経済まで、丁寧に説明されているので経済学の導入書として、ビジネスの一般教養を学ぶ教材としておすすめの1冊です。
今回は本書の82以上あるたとえ話から、聴き手に理解してもらう上で欠かせないたとえ話の基本的な使い方2つを学びます。
たとえ話の基本的な使い方2つ
本書を読んでみるとわかるのですが、「たとえば〜」というフレーズが非常に多い。ラインマーカー片手に読み進めていきましたが、多いところで1ページに4つの「たとえば」が出てきたりと、なるべく身近なものでたとえて理解してもらおうという意図が読み取れます。
本書のたとえ話の使われ方は大きく以下の2つに分けることができます。
・実例のたとえ
・想定のたとえ
それぞれどのように使われているか見ていきましょう。
実例のたとえ話
説明した内容のものが、実際にはどのようなものがあるのか、具体的な実例を挙げて説明します。聴き手に身近なものを例として挙げると共感されやすくなります。
・代替財の説明
“ たとえば、ミカンの価格が上昇すると、リンゴの需要は刺激されます。これはリンゴのミカンに対する相対的な価格が低下し、ミカンと比べて相対的にリンゴが安くなるからです。(中略)ミカンの価格の上昇はミカンからリンゴへの需要の代替を引き起こすため、このような関係の財は代替財と呼ばれます。
・補完財の説明
“ 一方、たとえば紅茶とレモン、パンとバター、野球用具のボールとバットなどセットで需要される財は、そのうちひとつの財の価格が上昇すると、両方の財の需要が減少します。たとえば、バターが値上がりすると、バターの需要が減少するだけでなく、パンの需要も減少します。このような関係にあるふたつの財は補完財と呼ばれます。
生活に欠かせないバターやパンなど身近な実例を紹介することで、聴き手が共感でき理解を促すことができます。また、統計データなど数値を示すとさらに説得力が増します。
想定のたとえ話
ある状況や場面を本人に想像させ、共感を促します。想像させる際、主観的に想像させる方法と客観的に想像させる方法があります。
・限界効用逓減(ていげん)の法則の説明
本書では以下のように居酒屋のビールで主観的にたとえています。
“ たとえば、仕事帰りの居酒屋で、まずはよく冷えたビールで乾杯。きっと信じられないくらいとてもおいしく感じるでしょう。しかし、2杯目、3杯目とお代わりをしていくと、最初の1杯目ほどの美味しさは感じなくなってきますよね。それで、だんだんチューハイを頼んだり、ハイボールを頼んだりするはずです。(P.39)
限界効用逓減の法則とは財を消費して同じものを手に入れるたびにその満足度が減っていくという法則です。欲しかったブランドバッグを手に入れたときは最高な気分ですが、同じものを2つ、3つと買うとその満足度は最初よりは下がるというものです。
説明する相手が実際に体験できるものでたとえることで、「ああ、なるほど」と共感してもらうことができます。応用として、現実的な場面でなくても、SFの世界にいたらとか映画の主人公だったらなど、空想的な場面を想像させても面白いでしょう。
また、以下のように限定した状況を想定して客観的にイメージさせることもできます。
・政策に必要なのは「ルール」か「裁量」か問題の説明
“ たとえば、教師が学生にテストをする場面を例にとってみましょう。教師がテストをする目的は、テストでクラス内の学生に順位をつけることではなく、テストの準備の為に勉強をしっかりしてもらって学習の理解を深めることだとしましょう。この場合、教師の最適な政策はテストをすると予告して学生にその準備をさせ、直前になってテストを取りやめることです。(中略)しかし、テストを実施しなければテストの予告を学生が信用しなくなってしまいますから、学生は勉強をしなくなります。(中略)こうした場合、教師の自由裁量には任せないで、テストを必ず実施するというルールを課すほうが望ましいということになります。(P.230)
状況がめまぐるしく変わる現代社会では柔軟性は不可欠ですが、それによってルーズになっては意味がありません。民衆に何らかのルールを課すか、その時節によって柔軟に対応するか、どちらがよいかという問題を説明したたとえ話しです。
自分が体験している場面を想定するか、ある状況を外から見ている場面を想定するか、説明しやすい方を選んで使っていきましょう。
まとめ
・基本的なたとえ話の使い方2つ「実例のたとえ」「想定のたとえ」
・実例のたとえ
具体例を説明に付け加えて理解を促すもの。聴き手に身近なものを挙げると共感される。統計データなどの実数を示すと説得力が増す。
・想定のたとえ
状況を限定して聴き手に想像させて理解を促すもの。聴き手を主体として想像させる方法と客観的な視点で想像させる方法がある。
私たちは普段、特に意識せずたとえ話を使っていますが、今回学んだたとえ話の基本2つを状況によって使い分ければ、相手にわかりやすく説明することができるでしょう。
もちろん、使うたとえ話は相手が知っている身近なものにしましょう。リンゴ、オレンジ、居酒屋、学校のテストなど、誰もが知っているものを取り入れれば難しいことでも親しみやすくなります。
日々の生活にもたとえ話を取り入れて、学び上手になりましょう!
以上、最後まで読んでくださりありがとうございました。
ヒデヨシ
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