facebook

2014年7月18日金曜日

たとえ話はパワードスーツ!障害を乗り越える力を持っている!|TED|スーパープレゼンテーション

photo credit: jurvetson via photopin cc

こんにちは、ヒデヨシです。


駅に行ってみると、当たり前のようにエレベーターやエスカレーターが設置されています。バリアフリーは高齢化が進む日本での常識となっています。体の不自由な人でも楽に行動できるように設計された建物や道路は今も増え続けています。


バリアフリーは人の住む環境を整備して不自由な人が感じる「段差」を無くします。それに対して「バイオニクス」は建物や道など人の住む環境ではなく、人そのものから不自由さを無くす生物的・工学的なです。


バイオニクスとは、生物の優れた機能を人工的に再現して、人間の生活に役立てる学問です。鮫肌の水着で早く泳げたり、コウモリのように超音波ソナーで船を探知したり、様々な場面で利用されています。


このバイオニクスを研究し、世界から身体的不自由を無くそうとしているのがHugh Herr(ヒュー・ハー)氏です。彼は17歳の時に両足を失いましたが、人の体は決して壊れないという信念のもと世界から障害を無くすためにバイオニクスを研究しています。


今回はハー氏のTEDカンファレンス(スーパープレゼンテーション|Eテレ)より、世界から不自由を無くすための医学と科学のあり方を学びます。また、たとえ話はパワードスーツの如くコミュニケーションの障害を取り除く力があることも学べたので併せて紹介します。




スピーカー:Hugh Herr(ヒュー・ハー)氏
タイトル :The new bionics that let us run,climb and dance「最新のバイオニクス義足で走り、登り、踊る」




TED:https://www.ted.com/talks/hugh_herr_the_new_bionics_that_let_us_run_climb_and_dance

1982年、17歳のときにハー氏は雪山登山での事故による凍傷で両足を失いました。普通なら誰もが絶望して途方に暮れるはずですが、ハー氏は自分の体が壊れたものと考えていませんでした。人の体は決して壊れないのだと考えていたのです。


壊れているのはむしろ科学技術であり、技術が不十分だったために自分が壊れていると感じてしまうのだと言います。


バイオニクスは生物学と工学の連携によって、電気機械を装着したり体に埋め込んだりすることで身体的不自由を克服し、人間の可能性を広げることができます。


たとえば、神経移植をして視力を回復させたり、強化外骨格(パワードスーツ)を使用して運動をアシストしたり、最新のバイオニクス義足によってまるで本物のような足を手に入れることもできます。


ロッククライマーだったハー氏はまず断崖絶壁を上る為の義足を開発しました。このとき、義足をカスタマイズすることによって普通の人の持つ足の限界を超える機能をつくり出せることに気づきました。

先の尖った足先を装着すれば、普通の人が引っ掛けられないくぼみに足を引っかけ、容易に岩の壁を登るこできます。スパイクのついた義足を装着すれば、垂直の氷の壁も筋肉疲労無く登ることができます。場面によって義足をカスタマイズして自分の能力を自由に高めることができました。


足を失って不自由になるどころか、より強くなってスポーツの、そして日常の生活に復帰したのです。バイオニクスは不自由を取り除き、新しい能力を私たちに与えてくれます。




よりリアルな足をつくり出す為の3つの要素



ハー氏のバイオニクス義肢には機械的、動力学的、電気的な3つの高度なインターフェースが用いられています。



機械的 :義肢を体にどう取り付けるか(装着方法)

私たちは物を上手く体につける方法を未だ見出せていません。たとえば、人類史上最も成熟し古い技術である靴でさえ、しばしば靴擦れを起こしてしまいます。


義足などの問題として、汗による接続部分のかぶれやこすれによる炎症が挙げられます。ハー氏の義足との接続部分には足のスキャン、弾力のデータを用いたオーダーメイドの人工皮膚が使われており、違和感無い装着感で「靴擦れ」もなくなります。



動力学的:生身の足のようにどう動かすか(リアルな動きの実現)


最新のバイオニクス義足は本物の足のように動かすことができるそうです。座る・立つ・歩く・走るといった動作の筋肉や脊髄の動き方、力の伝わり方のデータを分析し、足首や膝などの関節をパーツごとにつくり出しています。

目的とする動きに適したパーツを組み合わせることで、人間のデータから作られたリアルで柔軟性のある動きを再現することができるのだそうです。


バイオニクス義足はモーターによって前に進む力をサポートしてくれるので、階段や岩場を難無く登ることができます。また、普通の人でもつけることができる強化外骨格も開発中で、将来はお年寄りなど足の不自由な人も楽に歩けるようになります。


電気的 :神経系統とどのように情報交換するか(神経信号の伝達)


バイオニクス義足の場合、足の切断部分にセンサーを取り付けて、残った筋肉の電気信号を読み取ることで、自分の思った通りに義足を動かすことができます。脳から信号を送るだけではなく、なんと義足の方から感覚をもらえるという研究も進んでいるそうです。


つまり、将来的には足を失った人でもバイオニクス義足により、小指をタンスの角にぶつけたときの痛みを感じることができるようになるのです。嬉しい悲鳴ですね。



以上、3つの要素により装着感が無く、思い通りに動き、感覚まである「リアルな」体のパーツをつくり出すことができ、様々な治療に活用されています。




今は体を失っても取り戻せる時代



世界人口のおよそ半分以上は何らかの認知、感情、感覚、運動の機能障害に苦しんでいるのだそうです。しかし、ハー氏の信念である人の体は決して壊れないという考えを私たちが受け入れれば、不自由に苦しむことも絶望することもなくなるでしょう。


今では歯を失ってもデンタルインプラントがあり、足を失ってもバイオニクス義肢があります。失った体を取り戻すことができる時代になってきているのです。


身体的な不自由は技術革新により乗り越えることができます。そしてバイオニクスの研究が進めば、基本的な体の機能は当然の権利として保証され、誰でも不自由のない生活を送ることができるでしょう。ハー氏の理想とする不自由が無くなる世界は確実に現実のものとなっているのです。




たとえ話はパワードスーツ!





photo credit: stick_kim via photopincc

パワードスーツと聞くと、仮面ライダーやアイアンマンを想像してしまいますが、もちろん体に身につける訳ではありません。

上手く歩くことができない人のためにバイオニクス義肢があるように、上手く伝えることができない人のためにたとえ話はあります。自分の伝えたいことが上手く伝わらないとき、たとえ話は相手のイメージ化をサポートして相互コミュニケーションの大きな助けとなります。


たとえ話のメリットはバイオニクス義足のように、伝えたい相手によって表現をカスタマイズできることにあります。


伝えたい相手が年配の方なら健康や旅行、小学生なら話題のアニメやゲーム、女性なら美容ファッションや恋愛、男性ならスポーツやちょっぴりセクシュアルなものでたとえ話をすることで、どんな相手でも興味・共感を引き出すことができます。


たとえ話を場面に合わせてカスタマイズし、自分の伝える力を自由に高めることができます。


当たり前のことを言っていますが、1つのものを多角的にとらえる力は非常に重要です。


押してダメなら引いてみる、引いてダメなら横にスライドさせてみる、それでもダメなら上に持ち上げてみる。ドア一つでも開け方は様々ですよね。様々なアプローチ方法を学ぶことで表現の幅はグンと広がり、伝え上手になれるでしょう。


たとえ話はまさにパワードスーツです。どんな人でも身につけるだけで今まで以上の力を発揮できます。重さを感じることは決してありません。どんどんたとえ話をカスタマイズして、年代・文化・コミュニケーションの障害を乗り越えていきましょう。




まとめ



・将来、バイオニクス技術の進歩によって世界から身体的不自由は無くなる


・たとえ話はカスタマイズでき、年代、文化、性別を超えてつくりだすことができる


・たとえ話というパワードスーツによって、コミュニケーションの障害は乗り越えられる




ハー氏のプレゼンの最後で2013年4月15日に起こったボストンマラソンの爆弾テロで左足を失ったダンサーの女性が登場します。


爆弾テロによって彼女は左足を失いましたが、バイオニクス技術によって再びダンスフロアに戻るまでに回復しました。彼女の負傷後初のダンスが会場で披露されます。観客はスタンディングオベーションにより彼女を迎え入れ、会場のすべての人が彼女のダンスとバイオニクス技術に感動します。


私も電車内で見ていたのですが感動のあまり泣いてしまいました。(今思うととても恥ずかしいです。。。)医学と科学技術のあるべき姿を体験することができます。


本当に感動するプレゼンですので、是非ご覧になってみてください。



以上、最後まで読んでくださりありがとうございました。



ヒデヨシ



たとえ話が上手くなるサイト
PARABLE ANTENNA へ


たとえ話が上手くなるブログトップへ




ブログランキング・にほんブログ村へにほんブログ村

ad